| O1 Pocket Money [Single B-Side] (1972) Ode (A&M) |
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Carole King : Piano, Vocal Other Musicians : Unknown 1. Pocket Money [Carole King] Lou Adler : Producer 発売: 1972年1月 |
スチュアート・ローゼンバーグ監督(1927-2007)、ポール・ニューマン(1925-2008) 主演の映画「Pocket Money」1972のサウンドトラックで、1972年に全米9位のヒットを記録したシングル「Sweet Season」のB面に収められた。生活苦のカウボーイが、楽な金稼ぎとして牛200頭の移動の仕事を引き受けるが、実際はいろんな事件が起きて大変苦労するという話で、共演者はリー・マーヴィン(1924-1987)。この監督と俳優のコンビでは「Cool Hand Luke (邦題 暴力脱獄)」1967という作品があり、こちらのほうは両者の代表作といえる作品だったが、現代のカウボーイを描いたこの映画の評判は悪く、失敗作とされ日本未公開となった。 当時は、レコード販売促進、およびファンサービスのため、アルバム(LP)に収録できなかった曲をシングル盤のB面に収めることがよくあった。私はレコード店に通い詰め、店に置いてあった業界誌の発売予定欄を読んで、好きなアーティストの新作シングルのB面にそんな曲が入っていないか、よくチェックしたものだ。本作はそんな風にして見つけた一枚で、また新作 LP「Music」C5のジャケット写真の別テイクを使用したカバーも魅力だった。 曲自体は、映画の主題歌という割りには地味な雰囲気の小品であるが、聴き込むとそれなりに良い味が出てくる。A面がヒットしているので、多量のレコードが売られ、残っていると思われるが、絶頂期のキャロルのアルバム未収録曲ということで、コレクターズ・アイテムとなった。長い間、本曲を聴くことができるのは、このシングルのみだったが、1994年に発売されたキャロルのボックスセット「A Natural Woman The Ode Collection 1968-1976」 O2に収録され、初めてCD化された。このボックスセットには、各曲につき詳細なクレジットが解説書に記載されたが、本曲に関してはプロデューサーの名前のみだった。しかし各楽器(ピアノ、エレキピアノ、エレキギター、ベース、ドラムス)の音色を聴く限り、同時期に録音された「Music」と同じ人達と思われる。バックボーカルについても、キャロルの多重録音の他に別人の声が聞こえるので、アビゲイル・ハネスが参加していると推測する。ちなみに 2001年にRhinoから発売されたポールニューマンの企業「Newman's Own」(ドレッシングやスパゲティ・ソースを販売し、収益を事前事業に寄付することで有名)が企画したチャリティーアルバム「Newman's Own: Movie Songs」にも本曲が収録された。 [2012年7月作成] |
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| O2 The Ode Collection 1968-1976 (1994) Ode (A&M) | |
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Carole King : Piano, Vocal Danny Kootch : Electric Guitar David T. Walker : Electric Guitar Charles Larkey : Electric Bass Harvey Mason : Drums Bobby Hall : Percussion Harry "Sweets" Edison : Fleugel Horn, Trumpet Robert "Bobby" Bryant : Fleugel Horn, Trumpet Geroge Bohanon : Trombone Ernie Watts : Flute Norman Kurban, David Campbell : Strings Conductor & Arranger David Campbell, Carole S. Mukogawa : Viola Terry King, Nathaniel Rosen : Cello Charles Larkey : String Bass Barry Cocher, Eliot Chapo, Marcy E. Dicterow, Gordon H. Marron, Sheldon Sanov, Polly Sweeney: Violin 1. At This Time In My Life [Carole King] 2. Ties That Bound [Carole King] Recorded at A&M Studios, July 1971 |
オード・レコード時代の作品のコンピレーション・アルバム。「Now Tha Everything's Been Said」1968 C1から2曲、「Writer」1970 C2から2曲、「Tapestry」1971C3から 12曲、「Music」1971 C5から4曲、「Rhymes & Reasons」1972 C6から3曲、「Wrap Around Joy」1974 C7から3曲、「Fantasy」1973 C7から1曲、「Really Rosie」1975 C9から2曲、「Throughbred」1975 C10から2曲、未発表アウトテイク2曲、シングル収録1曲、未発表ライブ2曲という内容。「Tapestry」については同じ曲順で全部入れるというスゴイ事をやっている。これで私はLP、デジタル化時CD、ボーナストラック付CD 1999年、ライブCD付レガシー盤 2008と本作ということで、同じ内容のアルバムを5つ持っていることになる。なんとまあ....... ここではLP収録曲以外について解説する。 @ 未発表アウトテイク 「Rhymes & Reasons」1972 C6のアウトテイクが2曲。22年後の登場となるが、どちらもボーカル、コーラスの多重録音やホーンセクションの伴奏など最後までしっかり作り込まれたものになっていて、デモとか制作途中で投げ出した感じはない。1.「At This Time In My Life」は、ピアノとベースを中心とした伴奏に多重録音によるハーモニーボーカル、コーラスが加わる、こじんまりとした感じの作品。「あの頃私はどうだった...」という内容の曲で、ちょっと固いかな。チャーリー・ラーキーのメロディアスなベースラインがいい感じを出している。本曲はその後も他のアルバムには収録されていない。2.「Ties That Bind」は、サウンド的に次のアルバム「Fantasy」1973 C7そのものといった感じで、デビッド T.ウォーカーのギターとホーンセクションが活躍するニューソウル風の曲。いい出来と思うが、「Rhymes And Reasons」の他の曲とは異質な感じが否めず、アルバムに収録されなかった理由がわかる。後に再発された「Rhymes And Reasons」のCDには、本曲をボーナストラックとして含めたもの(邦題「心の絆」)がある。 A シングル収録 「Pocket Money」(O1参照) B 未発表ライブ 「Beleive In Humanity」は、1973年5月26日ニューヨーク、セントラル・パークにおけるライブ録音で、本作発売28年後の2022年に同ライブ全曲の音源と映像 E1が公開された。本作品購入当時はこの曲を聴きながら、全貌はどんなに凄いものかと想像を巡らせたものだ。それが2019年に発売された同編成による「Live At Montreux 1973」E2とともに観れる・聴けるようになったんだから感無量.....。なお、ここでは曲名表示が「Believe In Humanity」とだけなっているが、実際はメドレーで演奏される「Fantasy End」もしっかり入っている。 「You've Got A Friend」は、1971年6月18日ニューヨーク、カーネギー・ホールでのライブ。ジェイムス・テイラーがギターとボーカルでゲスト参加しているので、話題となったが、これも2年後1996年に「The Carnegie Hall Concert」C4 として全編が発売されている。 ということで、本稿執筆時の2023年2月では、本作品は私にとって未発表アウトテイク2曲のみという価値となった(添付されたブックレットの解説はそれなりに面白いけど)。CD2枚を収めたボックスは、カバーの白色が色褪せながら私の書斎の隅に眠っている。それにしても細長いボックスセットものは保管が難しいんだよね〜 [2023年2月作成] |
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| O3 Whiskey [Single B-Side] (1979) Capitol | |
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Carole King : Vocal Unknown : Other Personnel Carole King, Mark Hallman : Producer 1. Whiskey [Carole King] 写真下 : ウィスキーとキャロル(1982年) |
1979年に発売されたシングル「Move Lightly」(「Touch The Sky」1979 C13収録、100位以内のチャートインなし)B面のアルバム未収録曲。 リック・エヴァースを通じて知り合った人々のなかにロイ・レイノルズというアーティストがいた。彼はカウボーイだった頃、アルコール依存症だった。断酒の祝いに仔馬を購入し、ウィスキーと名づけ、仔馬の訓練とアート制作に打ち込む。彼の絵と写真が「Simple Things」1977 C11のジャケットに採用された際に、そのお礼にウィスキーをキャロルにプレゼントした (彼はその後も「Welcome Home」1978 C12 の写真とアード・ディレクションを担当している)。 ということで、本曲はウィスキーという馬と、それをめぐる人々の話を元に作られたものだ。キャロルとマーク・ホールマンのプロデュースで彼女が歌っていること以外は、資料がないので不明であるが、おそらく「Touch The Sky」1979 C13 と同じミュージシャン達が演奏しているものと思われる。アコースティック・ギターの演奏から始まり、途中でバンドがフィルイン、ピアノが出てくるのはコーラス部分から。キャロルの歌とコーラスは従来に増してアーシーな感じで、完全なカントリーロックのサウンドだ。 本曲は、その後もLPやCDに収録されず、配信もないようだ。ということで、聴きたい人は当該シングルを購入することになるが、ヒットしなかった割にはそこそこ出回っているようで、中古市場で手頃な価格で見つけることができる。 ギターがサウンドの主体となっていて、キャロルの作品としては少し毛色が変わった曲。 |
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| O4 Rulers Of This World [Single B-Side] (1980) Capitol | |
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Carole King : Piano, Vocal Other Musicians : Unknown 1. Ruler Of This World (aka Recipients Of History) [Carole King, Gerry Goffin, Barry Goldberg] Jack Nitzsche : String Arrangement Gerry Goffin : Producer 発売: 1980年5月 写真上: 「Ruler Of The World」版 下: 「Recipients Of History」版 |
1980年5月に発売され、全米12位を記録したシングルヒット「One Fine Day」(アルバム「Pearls」C14からシングルカット)のB面曲で、これまでベスト盤、ボックスセットを含め、どのアルバムにも収録されていない。不思議なことに、この曲は、「Rulers Of This World」と「Recipients Of History」という2通りの曲名で発売されており、キャロルの公式ホームページのディスコグラフィーには、前者で掲載されている。この曲については、あまり資料がないので詳細は不明であるが、「If the rulers of this world, want it to put an end to war, they could, you know they could, I wish they could, Then we all could be recipients of history, so gratefully.......中略........ maybe they are afraid they might also have to die」という平和と戦争反対を唱える政治的な内容で、この年の大統領選挙(共和党のレーガンが民主党のカーターを破って第40代合衆国大統領になった)に関係があるかもしれない。 共作者のバリー・ゴールドバーグは、ブルース音楽界で活躍するキーボード奏者、作曲家で、1972年のソロアルバム「Barry Goldberg」に収められた「It's Not The Spotlight」は、ジェリー・ゴフィンとの共作による名曲で、ロッド・スチュワート、マンハッタン・トランスファーによってカバーされた。彼女のピアノとストリングスのみによるシンプルでストレートなサウンドで、ストリングスのアレンジはジャック・ニッチェ(1937-2000)。彼はアレンジャー、プロデューサー、作曲家で、フィル・スペクターの右腕として有名になり、その後はローリング・ストーンズ、ニール・ヤングの他多くの作品を手がけた人。キャロルとの仕事はこの曲だけだと思う。 珍しい曲であるが、A面がかなりのヒットを記録したので、中古市場でたくさん出回っている。 [2023年3月作成] |
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| O5 The Care Bears Movie (1985) Kid Stuff Records & Tapes | |
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Carole King : Piano, Vocal Robbie Kondor : Keybords, Synthesizer Mickey Rooney : Spoken Words Harry Dean Stanton : Vocal Louise Goffin : Vocal Sherry Goffin: Vocal Lavi Larkey : Vocal Lou Adler: Producer Ana Selznick : Director 1. Care A Lot [Carole King] 2. Home Is In Your Heart [Carole King] 3. Care A Lot (Reprise) [Carole King] 写真上: DVD表紙 写真下: Sound Track Record 表紙 |
ケア・ベアーズ(以下「CB」)は、1981年にアメリカン・グリーティング社のElena Kucharikがグリーティング・カード用に書いた絵柄が始まりで、好評を受けてキャラクター化し、さらにケナー社がぬいぐるみを発売しで大人気となった。それぞれの熊は、色が違っていてへそのあたりに役割と人格を示すシンボルが付いている。彼らは普段は雲上の「Care A Lot」に住み、子供達の成長を見守っていて、問題を見つけるとかけつけて彼らを励まし、解決に導くという。1985年カナダのNelvana Productionが映画化の権利を獲得して、アニメーションを製作した。それは世界各地で大ヒットし、その後3本の続編が作られ、テレビシリーズにもなった。本作は日本では公開されなかったようであるが、続編以降の作品はディズニー・チャンネル等で放映されたり、DVDで発売されている。またぬいぐるみの販売も好調で、日本をイメージしたキャラクター「Sweet Sakura Bear」も作られたという。1980年代の絶頂期の後は人気が衰えたが、人々はCBのことを忘れておらず、1990年代の終わり頃、再びブームが起きてデザインのマイナー・チェンジを経ながら現在に至っている。キャロルは、1983年のアルバム「Speeding Time」C16に続くルウ・アドラーのプロデュースのもと、テーマソングと挿入歌の製作に携わっている。映画の内容は以下のとおり。 孤児院を経営するMr. Cherrywoodが、子供達に聞かせる物語りとして始まる。雲上のCare A Lotに住むCB、Friend BearとSecret Bearは地上で問題を抱える孤児KimとJasonを見つけ、雲でできた車で地上に降り、彼らを助けようとする。一方地上の遊園地では魔法使いの助手Nicholasが Evil Spiritの影響を受け、悪い魔法で人々から caring (相手を思いやること)を奪ってしまう。Friend BearとSecret Bearは、信じようとしないKimとJasonlを Care A Lotに連れてゆくが、Evil Spiritの攻撃を受けてその場所は大きな被害を受ける。Friend Bear、Secret BearとKim、Jasonは、ニコラスの所に行ってやめさせようとするが、思うように移動できず、雲上にあるジャングル「Forest Of Feelings」にたどり着く。彼らはそこで、Care Bear Cousinsと呼ばれるBrave Heart LionやPlayful Heart Monkey等に出会う。そこにもEvil Spiritが攻め寄せるが、皆で協力して撃退し、Nicholasのいる遊園地に向かう。Nicholasは強力な魔術で対抗するが、自分の過ちに気付いてEvil Spiritを封印し平和が訪れる。Care Bear Cousinは、CBの仲間となり、KimとJasonは新しい親を見つけてハッピーエンド。最後にNicholasは後にMr. Cherrywoodに、Kimは彼の奥さんになったことが明かされる(ちなみにNicholasはKimに近い年齢、Jasonはかなり年下という設定)。 映画を通しで一度観たが、最後まで観続けるのに難儀した。いかにも当時のアメリカ風アニメという感じで、ストーリーが単純で勧善懲悪がはっきりし過ぎていること、各キャラクターの動きが不自然であること、背景の絵に繊細さ・深みがないため、宮崎駿が監督した1984年の「風の谷のナウシカ」と比べると雲泥の差であることは誰が観ても明らか。観る人の想定年齢が違うからという意見があるかもしれないが、1988年の傑作「となりのトトロ」が年齢を問わず、誰でも楽しめる事を考えると、両国で、アニメという文化に対する根本的な違いがあると思う。しかし後にアメリカはそれを認めて、3Dという画期的な表現方法を駆使して克服することになる。 以上のとおり、アニメの出来としては散々な事を言ったが、本作品でフィーチャーされた音楽は、なかなか良かったと思う。1.「Care A Lot」は、ミッキー・ルーニー(1920-2014、子役時代にジュディ・ガーランドとのハリウッド映画の共演で人気を博し、1950年代は脇役として多くの映画に出演した人) によるMr. Cherrywoodのモノローグの後のオープニング・タイトルで始まる(レコードでも彼のセリフが入っている)。ロビー・コンドーのシンセサイザーとキャロルのピアノ(弾いているのはロビーかもしれない)と、本人の多重録音によるコーラスをバックにキャロルが歌い、そこには理想の住処「Care A Lot」の誠実な世界が語られる。エンディング・タイトルで流れる 3.「Care A Lot (Reprise)」も1.と同じ録音で、これもレコードに収められているが、イントロにモノローグがない(被っていない)点が異なる。 2.「Home Is In Your Heart」は、Care A Lot も、Forest Of Feeling、地球もみんな心の中では同じ故郷だと歌う、とても明るく前向きな曲。Kim、Care Bear、Playful Monkeyをキャロルと、ルイーズとシェリー・ゴフィンの二人の娘が担当(声色を使っているので、誰がどのパートを歌っているかは分からない)、Jasonを二男のLavi Larkeyが歌い、「Cool Hand Luke」 (1967 暴力脱獄)、「Godfather Part II」1974、「Alien」1979、「Green Mile」1999に脇役で出演したハリー・ディーン・スタントン(1926- )がBrave Heart Lionでゲスト出演している。女性3人は語りっぽい歌い方を含めてとても上手であるが、男性の子供は少し調子っぱずれで、彼は後にテキサス大学で博士号を取り、研究者・ビジネスマンとしてキャリアを積んでいる。本作での彼らの出演は歌のみで、映画のセリフは別の声優が担当している。キャロルの20代の二人の娘と10代の息子、そして次女シェリーの夫になるロビー・コンドウとの共演ということで、何ともいえない家族的な雰囲気に溢れている。キャロルのピアノとロビーのコンピューター打ち込みと思われるバック演奏や、コーラスも創造性に溢れたアレンジで、曲の良さと相まってとても良い出来に仕上がっている。 サウンド・トラック・レコードは、上記以外にジョン・セバスチャンによる3曲 (「Nobody Care Like A Bears」は、彼自身がラグタイム風のメロディーに乗せて歌う彼らしい曲であるが、他の2曲は登場人物が歌っていてそれほどでもない)と、映画の粗筋となる登場人物のセリフや効果音が収録されている。 キャロルの作品の中でも掘り出し物と言ってよい作品。 [2015年8月作成] |
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| O6 Time Heals All Wounds (1989) Capitol | |
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Carol King: Vocal, Piano Unknown: Others 1. Time Heals All Wounds [Carole King, Paul Hipp] シングルB面 写真上: 米国発売 3曲入り 12インチ・シングル 写真中: カナダ発売 2曲入り 7インチ・シングル 写真下: 米国発売 3曲入り CDシングル |
| アルバム「City Streets」1989 C17からからタイトル曲がシングルカットされ、そのB面にアウトテイクの1.「Time Heals
All Wounds」が収録された。この曲は「City Streets」に収められた「I Can't Stop Thinking About
You」と同様、同アルバムの記事で述べた俳優・シンガー、ポール・ヒップとの共作。バックのミュージシャンはアルバム録音と同じ顔触れと思われるが、クレジットの記載がないため、ここでは「Unknown」とした。 米国ではLPサイズのシングルとして発売され、A面に「City Streets」、B面に上記の「I Can't Stop Thinking About You」と本曲の2曲が入り、カナダではB面が本曲のシングル盤仕様となっている。また当時はレコードとCDの移行期にあたり、3曲入りのCDシングルも発売された。 様々な逆境・苦難に苦しむ人々に対し「時が傷を癒してくれる」 と諭す、力強い歌だ。 [2025年1月作成] |
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| O7 For Our Children PAF AID (1991) Various Artists Buena Vista | |
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Carole King: Vocal, Piano, Electric Piano 1. Child Of Mine [Gerry Goffin, Carole King] C2 C4 写真下: 2001年にKid Rhinoから発売された 「For Our Children 10th Anniversary Edition」 |
| 1988年自分の娘をエイズで失ったエリザベス・グレイザーとその仲間達によって設立された小児エイズ基金(The Pediatric AIDS Foundation)のために、ウォルト・ディズニー・カンパニーが製作したチャリティー・アルバムで、有力アーティストの賛同による、この手の企画アルバムの走りとなった1枚だ。全20曲中10曲が新録音であることが本作の目玉で、キャロルの他にジェイムス・テイラー、ボブ・ディラン、ハリー・ニルソンといったソングライター系の他に、アン・アンド・ナンシー・ウィルソンのハート姉妹、当時人気のあったデビー・ギブソン、ポーラ・アブドゥル、女優のメリル・ストリーブなどが曲を提供した。 キャロルの「Child Of Mine」はアルバム「Writer」1970 C2が初出。ここではエコーが効いたピアノとウーリッツァーっぽいエレキピアノのバックで歌っていて、コーラスパートは本人によるハーモニー・ボーカルがオーバーダビングされている。ライナーのクレジットにはコ・プロデュースとして彼女とルディ・ゲスの名前が記されており、手作りのようなこじんまりとした録音であるが曲の趣にフィットしている。 [以下はジェイムス・テイラー・ディスコグラフィーのものとほぼ同じです] 全曲につき以下のとおり追記します。曲に続く@ [ ]は作者、Aオリジナルまたは決定版の歌手・バンド名、発表年 C( )は本作で歌った人、D特記事項の順番で表示。 1. Give A Little Love [Albert Hammond, Diane Warren] Hammond And West 1986 (Ziggy Marley) ジギーのアルバム「Hey World !」1986 収録曲と同一録音。ジギー・マーレイはボブ・マーレーの息子。イギリスのレゲエ・グループ、Aswadでヒット(全英11位)。バンド名の「West」は、オランダのシンガーAlbert Westのこと。 2. This Old Man [Traditional] Pete Seeger 1953 (Bob Dylan) ナーサリーライムの数え歌。大道芸人的な味わいのある演奏。 3. Cushie Bitterfield [曲:Traditional, 詩: George Ridley] Owen Brannigan 1975 (Sting) 19世紀にジョージ・リドレイが北イングランドのトラッドに詩をつけたもの。 4. Mary Had A Little Lamb [Paul McCartney, Linda McCartney] (Paul McCartney) ウィングスのシングル1972 (全英9位、全米28位)と同一録音。 5. The Ballad Of Davy Crockett [Tom Blackburn, George Burns] The Mellowmen 1954 (Stephen Bishop) ディズニーが製作したフロンティア・ヒーロー、デイビー・クロケットのテレビ番組で歌われ、その後多くのカントリー歌手がカバーした。プロデュース、アレンジはマイケル・オマーティアン。 6. Itsy Bitsy Spider [Traditional] (Little Richard、2020没) 指遊びをしながら歌うナーサリーライムで、蜘蛛が雨どいを這い上がる歌詞がユーモラス。リトル・リチャードがいつも通りロックンロール、シャウトするのが可笑しい。 7. Chicken Lips And Lizard Hips [John Cassidy, Nancy Cassidy] Nancy Cassidy 1986 (Bruce Springsteen) 子供が聴いていた童謡をブルースが気に入り録音。子供が母親の料理を嫌々食べる様を描いた歌詞が傑作。オリジナルと全く異なるトーキング・ブルース調の演奏・歌唱も最高。 8. Country Feelin's [Brian Wilson, Eugune E. Landy, Alexsandara Morgan] (Brian Wilson) 没になり、その後海賊版で出回ったアルバム「Sweet Insanity」1990に収録。 9. Blueberry Pie [Bette Midler, Bruce Roberts, Carol Bayer Sager] (Bette Midler) セサミ・ストリートのアルバム「In Harmony」1980 B12 収録曲と同一録音。 10. The Pacifier [Elton John] (Elton John) 「おしゃぶり」、「落ち着かせるもの」という意味のタイトルのダンサブルなインスト曲。エルトンはエレキピアノを弾いている。 11. Getting To Know You [Richard Rogers, Oscar Hammerstein] Gertrude Lawrence 1951 (James Taylor) 「王様と私」のブロードウェイ・キャスト録音がオリジナル。映画ではデボラ・カーが歌っていた。 12. Autumn To May [Paul Stookey, Peter Yarrow] Peter, Paul And Mary 1962 (Ann And Nancy Wilson) ファンタスティックな歌詞が最高。オリジナルのPPMがいいけど、ハートの姉妹もアイリッシュ・ソングっぽく歌っていてなかなか。 13. Child Of Mine [Gerry Goffin, Carole King] Carole King 1970 (Carole King) キャロルのアルバム「Writer」1970 収録曲とは別録音。 14. Tell Me Why [Traditional] (Pat Benatar) ロックの女王が子守歌を優しく歌っている。 15. A Medley Of Rhymes [Traditional] Debbie Gibson @ Man In The Moon A Three Blind Mice B Hush Little Baby 当時人気絶頂の若手歌手がさらっと歌う。 16. Blanket For A Sail [Harry Nilsson、1994没] Harry Nilsson 1977 (Harry Nuillson) オリジナルは「Kunnilssonn」1977収録。本トラックは再録音。 17. Goodnight My Love (Pleasant Drems) [George Motola, John Marascalco] Jessie Belvin 1956 (Paula Abdul) ドゥワップ・ソングとダンス・ミュージックの歌姫との不思議な取り合わせ。後年彼女のアルバムにボーナス・トラックとして収録された。 18. Golden Slumbers [Paul McCartney, John Lennon] The Beatles 1969(Jackson Browne, Jennifer Warnes) 言わずと知れた「アビーロード」B面のフィナーレ前の曲。ジャクソンとジェニファー(ジョー・コッカーとのデュエット「Up Where You Belong」1982が代表作)は、トラッド風のアレンジで誠実に歌っている。 19. Gartan Mother's Lullaby [Traditional] (Meril Streep) アイルランドの子守歌を厳かに歌っている。プロデュース、アレンジ、ピアノはデビッド・フォスター。 20. A Child Is Born [Alan & Marilyn Bergman, Dave Grusin] (Barbara Streisand) 彼女 1975年のアルバム「Lazy Afternoon」収録曲と同一録音。最後を飾るに相応しい曲。「Escape (Pina Colada Song)」1979で有名になる前のルパート・ホルムズがプロデュースとアレンジを担当している。 なお本作は、2001年に「For Our Children (10th Anniversary Edtion)」として、キッド・ライノより同内容で再発された。 [2025年3月作成] |
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| O8 'Til Their Eyes Shine (1992) Various Artists Columbia (Sony) | |
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Carole King: Vocal, Piano John Humphrey: Bass Brie Howard: Conga, Back Vocal Carole King, Rudy Guess: Producer 1. If I Didn't Have You To Wake Up To [Gerry Goffin, Carole King] |
| The Institute For Intercultural Understanding という団体のためのチャリティー・アルバムで、収益は「The
Voiceless Victims」というプログラムに寄付された。それは困難に立ち向かって生きている世界の子供達に美術と詩作の場を提供する企画とのこと。同団体はCDのライナーによるとケンタッキー・ルイスヴィルが本拠地とあるが、インターネットで調べた限りでは、該当する資料は見つからなかった。30年以上前の話だからね。 エグゼクティブ・プロデューサーの一人は歌手のロザンナ・キャッシュで、彼女の声掛けでこれだけ豪華な女性アーティスト達が集まったのだろう。「The Lullaby Album」という副題のとおり、子供達への歌が集められている。ロザンヌ・キャッシュ、キャロル、ケイト・アンド・アンナ・マクギャリグル、ディオンヌ・ワーウィック、メアリー・チャピン・カーペンターは本作のために録音した新曲、ブレンダ・ラッセルとエミルー・ハリスは他アーティストの曲のカバー、グロリア・エステファン、デニース・ウィリアムス、マーラ・オコンネルは以前発表の曲、ローラ・ニーロがセルフカバーといった内容。子守唄というコンセプトのため、静かで優しい曲が多くなっている。 キャロルが提供した1.「If I Didn't Have You To Wake Up To」は、ピアノ、ベースとパーカッションというシンプルな編成で、当時のバックバンドの人たちが参加している。親にとっての子供の存在の大きさを歌った内容で、とてもシンプルな感じの曲。ライナーに掲載された歌詞の横には、アルバム「Tapestry」1971 C3のジャケット写真のセッションで撮られた窓辺に座るキャロルとその横に立つ幼いルイーズとシェリーの写真が添えられている。 他の曲では、エミール・ハリスのキャロルの「Child Of Mine」、カーラ・ボノフの「Dream」をカバーしたブレンダ・ラッセルあたりが聴きものかな。ローラ・ニーロの「To A Child」は1984年の「Mother's Spiritual」のバンド演奏がオリジナルで、本作では弾き語りによる歌唱。なお本曲は1993年には発表されたアルバム「Walk The Dog And Light The Light」にも収められたが、そこでは同じ録音ながら、イントロとエンディングにフルートが付け加えられている。 キャロルとしてはシンプルで地味な感じであるが、子供への思いがしっかり伝わってくる曲。 [2025年3月作成] |
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| O9 Songs Without Words (1997) Various Artists Windham Hill | |
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Carole King: Piano 1. Blue Modal Morning Alive [Carole King] |
ウィンダムヒルは1976年にギタリストのウィリアム・アッカーマンと奥さんのアン・ロビンソンが設立したレコード会社だ。そこからは1970年代〜1990年代の間、彼以外にマイケル・ヘッジス、アレックス・ド・グラッシなどのギタリスト、ジョージ・ウィンストン、リズ・ストーリー他多くのアーティストのアルバムが発表され、当時流行ったヒーリング音楽の先鋒となった。その後アッカーマンは1992年、離婚した奥さんも1996年に会社を去る。本アルバムはその頃に製作されたもので、創業者による当初の姿とは異なる状況のもとで作られたため、我々がこのレーベルに対して抱くイメージとはことなるものになっている。 当時のポピュラー音楽界で活躍していたピアニスト、作曲家、プロデューサー達がプライベートな環境の中で作った曲、過去の発表作のセルフカバーが収められていて、ピアノのみの演奏による思い入れのある曲ということであまり変化がない感じであるが、疲れている時に通しで聴くと心が癒される。音楽の内容は違うけれど、ヒーリング音楽という意味では当初のレーベル・コンセプトと同じということか...... キャロルの「Blue Modal Morning Alive」は余韻が残るメロディーで、アルバム最後の配されたことがわかる。ライナーノーツには各人のコメントが寄せられており、キャロルのは以下のとおり。 「私はアイダホの荒野でこの曲を歌詞付きで書きました。その当時は全く異なる曲名だったのですが、その時にすでにインストルメンタルになりたがっているように思えました。今や歌詞なしで展開できる自由を得て、曲名を「Blue Modal Morning Alive」に改めたのは、この音楽が言わんとしていることを表しているからです。皆さんが楽しまれますように。」 彼女の歌がないと物足りないという人もいると思うけど、私としては面白く聴くことができた。彼女独特のピアノ・タッチを歌無しの独奏で楽しめる珍しい作品。 他の曲の背景(動機、セルフカバーの場合はオリジナル)について: 1. 「Water Fountain」 David Foster : 映画 「Secret Of My Success」1987 2. 「The Stone Quilt」 Desmond Child: エイズで亡くなった人達に作られたワシントンのエイズ・メモリアル・キルトを見て 3. 「Major Dreams, Minor Lies」 David Benoit: 落とし穴に嵌った経験から 4. 「Songs Without Words」 Eric Brazilian: 毎朝弾いていたコードから生まれ、歌詞が思い浮かばない曲 5. 「A Hollywood Nightmare」 John Corey: ハリウッドの哀しさと孤独 6. 「Miracles」 Walter Afanasieff: Kenny G 「Miracles」 1994 7. 「Garbo Redux」 Bob James: 映画 「Garbo Talks」 1984 8. 「Everything I Do (I Do It For You)」 Michael Kamen: Brian Adams, 映画 「Robin Hood: Prince Of Theives」 1991 9. 「If You Asked Me To」 Diane Warren: Patti LaBelle 「Be Yourself」 1989 10.「Generations」 Jim Brickman: ブラームス、家族の伝統 11.「Not Like This」 Jeremy Lubbock: Al Jarreau 「Jarreau」 1983 12.「This isn't Love」 Brian Wilson: 自分の音楽と人生について良く思っていた時期に書いた曲 13.「What Can You Lose」 Stephen Sondheim: Madonna 「I'm Brethless」(For The Movie "Dick Tracy") 1990 14.「Life Is A Circle」 Michael Whalen: 祖母の死と2歳のいとこのふるまい 15.「Cousin Stu」 Jeff Lorber: 「Jeff Lorber Fusion」 1977 16.「Blue Modal Morning Alive」 Carole King 耳に心地良いだけではなく、疲れて傷ついた心を優しく癒してくれる音楽。 [2025年4月作成] |
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| O10 VH1 Divas Live (1998) Various Artists Epic/VH1 | |
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Carole King: Vocal Aretha Franklin: Vocal (3) Celine Dion: Vocal Gloria Estefan: Vocal (2,3) Mariah Carey: Vocal (3) Shania Twain: Vocal (2,3) [The Reason] Claude "Mego" Lemay: Keyboards Ives "Ivo" Frulla: Keyboards Andre Coutu: Guitar Dominique Messier: Drums Paul Picard: Percussion Elise Dugay, Terry Bradford, Julie LeBlanc: Back Vocals [You've Got A Friend] Carole King: Piano [(You Make Me Feel Like A) Natual Woman] H.B. Barnum: Conductor Richard Gibbs: Piano Darryll Houston: Organ Michael Beardon: Keyboards Teddy Richards: Guitar Francisco Centeno: Bass David Rokeach: Drums Jaqui Whitman: Tambourine Joe Passaro: Percussion Byron Strippling, Glenn Drews, Jorge Arciniega: Trumpet Robert Trowers, Larry Farrell, Keith O'Quinn: Trombone Lawrence Feldman, Dave Tofani, Ernie Fields Jr., Roger Rosenberg: Sax Mae Kohn, Diana Madison, William Moore: Back Vocal 1. The Reason [Carole King] G35 2. You've Got A Friend [Carole King] C3 C3 C4 C19 C19 C21 G33 G39 E1 E2 E3 E4 E5 E6 E8 E8 3. (You Make Me Feel Like A) Natural Woman [Gerry Goffin, Carole King, Jerry Wexler] C3 C3 C4 C19 C21 G1 E2 E3 E4 E5 E8 S1 収録・放送: An Honors Concert For VH1 Save The Music Foundation at Beacon Theater, New York, NY on April 14, 1998 |
VH1は1985年に設立されたミュージック・ビデオを放送するアメリカのケーブルTV局で、MTVよりも高めの20代〜30代の視聴者をターゲットとしている。当時の社長が小学校の「一日校長」として音楽授業に参加した際に、予算削減のためプログラムが廃止されることを知り、資金援助のための財団「Save The Music」を設立した。本コンサートは財団の支援のためにVH1が企画した最初のコンサートだ。セリーヌ・ディオン、グロリア・エステファン、マライア・キャリー、シャニア・トウェインという当時絶頂期のシンガーとアレサ・フランクリン(2018年没)を招き、ゲストとしてキャロルを加えた「Divas =歌姫」と銘打ったコンサートは大きな話題を呼び、その模様は米国内ではVH1で放送され(日本ではBSで放送されたらしい)、その後CD, ビデオが販売された。 コンサートは、@ マライア・キャリー A グロリア・エステファン B シャニア・トウェイン C アレサ・フランクリン D セリーヌ・ディオンの順番で各2〜3曲歌った後に、ゲストのキャロルが登場し歌姫達の共演となる構成。CD、ビデオではアレサの2曲「A Rose Is Still A Rose」、「Here We Go Again」と、「You've Got A Friend」の前にキャロルが歌った「It's Too Late」がカットされたそうだ(テレビ放送で含まれていたアレサの2曲については、現在はYoutubeにアップされたエアーチェック動画を観ることができるのに対し、キャロルの1曲はテレビでもカットされていたため、残念ながら観るチャンスはない)。なおCDとビデオは収録曲は同じであるが、ビデオは各アーティストが歌う前に女優達などによるプレゼンテーションやセイブ・ザ・ミュージックの活動内容の紹介動画が入っている。各アーティスト毎に独自のバンドが付くなど、大変豪華なセッティングであるが、正直言って音楽をじっくり聴くというよりも、お祭り・ショーを楽しむという要素のほうが強い感じがする。まあこの手のチャリティー・イベントに有りがちな傾向なので、しょうがないか。 キャロルの出番は5番手セリーヌの2曲目からで、1.「The Reason」を二人で歌う。アルバム「Let's Talk About Love」1997 G35ではキャロルはピアノとバック・ボーカルだけだったけど、ここでは@ ファースト・ヴァース: セリーヌ A コーラス:二人 B セカンド・ヴァース:キャロル C コーラス:二人という構成のデュエットで、両者のソウルが感じられる熱唱になっている。この後セリーヌの「My Heart Will Go On」、カットされたキャロルの「It's Too Late」と続き、歌姫達の共演コーナーになる。 2.「You've Got A Friend」はキャロルのピアノ伴奏のみによる演奏。前に二人で共演したアレサとマライア以外の3人がグランドピアノ横の高椅子に座って歌う。その構成は @ 1st Verse キャロル→セリーヌ、A Chorus 3人→セリーヌ (コーラスではキャロルは合いの手を入れる) B 2nd Verseシャニア→グロリア C Chorus 3人→シャニア D Bridge キャロル→グロリア→シャニア E Chorus 3人→セリーヌ FEnding 3人。曲が終わった後の歓喜の表情・振る舞い、そして感極まったキャロルが「This is why we write songs, so you get people like this to sing them.. and this !」と語る場面は素晴らしい。 ここでアレサとマライアが再登場し、トリの 3.「 (You Make Me Feel Like A) Natural Woman」が始まる。@ 1st Verse アレサ→セリーヌ A Chorus 全員 B 2nd Verse シャニア→グロリア→マライア C Chorus 全員 D Bridge アレサ→シャニア→セリーヌ E Chorus, Ending 全員 という流れ。ここでキャロルがソロをとらないのは、他の歌姫達に敬意を表してだろう。それにしても全編で合いの手を入れまくるアレサの物凄いこと!キャロルを含む他のシンガーもシャウトしているが、足元にも及ばず、Divaの称号は彼女に相応しい事がはっきりするパフォーマンスだ。 最後は「Testimony」というゴスペルの掛け合いのような歌でフェイドアウトするが、ここではキャロルは一緒に並んでいるだけで歌っていない。 キャロルは5人の歌姫のゲストというかたちで出演しているが、かなりいいところを取っている。 [2025年9月作成] |
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| O11 You've Got Mail Music From The Motion Picture (1998)Warner Brothers | |
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Carole King: Vocal, Back Vocal, Piano Robbie Kondor: Additional Keyboards Mike Fisher: Percussion Louise Goffin: Back Vocal 1. Anyone At All [Carole King, Carole Bayer Sager, Arr: Robbie Kondor] From: Music From The Motion Picture "You've Got Mail" starring Tom Hanks and Meg Ryan, directed by Nora Ephron 写真上: アルバム表紙 写真中: アルバム表紙(別デザイン ブックレットの中身は同じ) 写真下: Single "Anyone At All" |
| NHK衛生放送で映画「You've Got Mail」1998 を観た。久しぶりで、おそらく20年以上前じゃないかな?個人商店と大型チェーン店という同業の敵対者でありながら、匿名のメール交換をきっかけに愛し合うようになる話で、主演の二人トム・ハンクスとメグ・ライアンは「Sleepless
In Seattle (邦題 めぐり逢えたら)」1993に次ぐ共演で、二作ともノーラ・エフロンという同じ人が監督をしている。当初観た時はニューヨークを舞台とした面白いロマンチック・コメディーと感じたが、今回はかなり異なる印象をもった。それは小さな個人店舗が大型チェーン店の進出により廃業を余儀なくされるという筋書で、私の親類、住む街の店々や旅先の地方都市でのシャッター街の有様を長年観てきたので、何とも言えない気分になってしまったのだ。そしてこの映画が製作された頃は攻める立場にあった大型本屋は、今やインターネット販売に押されて苦境に陥っているはずという点で、残酷な時代の移り変わりを図らずもみせているのだ。またパソコンをインターネットに接続する際のダイヤルアップ回線の電話の音は懐かしかったね。 本作はエルンスト・ルビッチ監督の映画「The Shop Around The Corner (邦題 桃色の店)」1940 という原作があって、ジェイムス・スチュアートとマーガレット・サラヴァン主演による大変面白い作品だった(ジェイムスの出演作の中でベスト5に入る出来)。ハンガリーの舞台劇を映画化したもので、ブダベストの雑貨店を舞台とした店の上司の男性と店員の女性が主人公で、互いに知らずに匿名の手紙を交換するサービスを利用した話しだった。ということで場所、二人の関係、連絡手段など設定が異なっているが、リメイクされた本作では、女が匿名の相手を待つ喫茶店に男が現れて揉める傑作シーンなど、かなり忠実に再現されている部分もある。そして女性が経営する児童書店の名前が「The Shop Around The Corner」になっているのは、原作に対するオマージュだろう。 映画で流れる過去の名曲についても感慨深かった。Bobby Dayの「Rockin' Robin」1958、The Cranberriesの「Dreams」1992、Stevie Wonder の「Signed Sealed Delivered I'm Yous」 1970、ハリー・二ルソンの「The Puppy Song」1969など、当初観た時は知らなかったけど、今はお馴染みになった曲がいくつもあってうれしかったし、それらが流れる時間は短いけれど適材適所に配されたこともよくわかった。改めてCDで聴くと二ルソンの「Remember」1972やロイ・オービソンの「Dream」1963のように新たな曲の発見もあった。サウンドトラックとして発売されたCDは、それらの既存曲が大半を占めていて、映画音楽のジョージ・フェントンが作曲したスコアは5分36秒にまとめられて「The "You've Got Mail" Suite」というタイトルで収録された。なお現在は配信でそれらスコアのフルバージョン(16曲 21分16秒)を聴くことができる。 キャロル・キングの曲「Anyone At All」はエンドクレジットで流れるが、本来の演奏時間3分9秒に対し1分40秒で終わり、その後は、ビリー・ウィリアムスの「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」1957とシネイド・オコナーの「Guess The Lord Must Be In New York City」1998が流れる。キャロルにとってもう一人のキャロル(ベイヤー・セイガー)と初めて組んだ作品であり、それなりに良い曲と思うけど、この曲が映画の雰囲気に本当にマッチしていたかは疑問が残る。最後まで流さず、エンドクレジットの途中で他の曲に切り替えたのは、そのためではないか?ちなみにウィキペディアの説明では、「映画では二ルソンのもの(注: 1969)が使用されたが、サウンドトラック・アルバムにはシネイド・オコナーのバージョンが収録された」とあるが、映画の中で流れたニルソンのバージョン1969はアルバムに含まれず、エンド・クレジットのシンニードのもの1998が収録されたというのが正しい。 「Anyone At All」は、サウンドトラック・アルバムと、同時に発売されたシングルのみで入手可能。なお本曲のプロモーション・ビデオが製作されている (「その他映像・音源(断片)」の部参照)。 [2025年11月作成] |
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