2020年  Pure Acoustic 2018 (2018/9/18) Taeko Onuki Concert 2022 (2023/6/16) の頃   
Ex Fan Des Sixties / Nati Bati Yi  Childish Tones feat 宇佐蔵べに (2020) Hello From The Gutter 










1. Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)[作詞作曲 Serge Gainsbourg 日本語詞 大貫妙子] シングル A面

[Les Childish Tones avec Beni Usakura]
Beni Usakura: Vocal
Ka-No-Ko L.K (a.k.a. Lovely K): Vocal
Nemoto De Chobeaullet: Toy Guitar
Nishioka Diddley: Toy Guitar
Tact: Toy Organ, Toy Piano
Waka The Pop: Toy Drums
Yann Kuriyama: Toy Percussion


写真上: Single 2020年3月25日発売 B面 「Nati Bati Yi (なればいい)」
写真中: Single (ピンク盤) B面 「Nati Bati Yi (なればいい)」
写真中: Split Single  B面 「Lemon Tea」 by Erieza Royal & The Summary Lynch
写真下: Various Artists 「Silent Running」 2020年1月15日発売 1曲目収録


1. Former Fan Of Sixties (Omoide No Rock 'N' Roll)[Words & Music: Serge Gainsbourg, Japanese Lyrics: Taeko Onuki] Single A-Side
Childish Tonesは、DECRECというインディ・レーベルを主宰するネモト・ド・ショボーレが2015年に結成したバンドで、1950〜1960年代の米国製ヴィンテージおもちゃ楽器にピックアップを付けて演奏するのが特徴。チューニングなどに難がある事を逆手にとって、シャビーでローファイなガレージ・ロックのサウンドを生み出している。2017年からはソロ、数々のユニットなどで活躍するアイドル歌手、宇佐蔵べに(usabeni)をフィーチャーした作品を発表している。

1.「Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)」は安田成美のアルバム「ジィンジャー」1988収録曲のカバー(曲の由来については「ジィンジャー」を参照のこと)。持ち味の安っぽいサウンドとパンキーな女性ボーカルが曲にうまくフィットしていい感じに仕上がっている。シングルのB面はグループサウンズのスパイダースが1966年に出したシングルB面曲「なればいい」(作詞 オリベゆり 作曲・歌 かまやつひろし)のサイケロックを過激にアレンジした「Nati Bati Yi」。なおこれら2曲は、別にピンク色の盤と異なるジャケット・デザインによるシングル盤も出され、さらに1.「Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)」に別アーティストの曲(Erieza Royal & The Summary Lynch の「Lemon Tea」)をB面とするスプリット・シングル盤で発売された。ちなみに1.「Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)」は、約2ヵ月前に同じレーベルから発売されたオムニバス・アルバム「Silent Running」にも収録されている。また同曲のプロモビデオが存在する。

おもちゃの楽器を使った安っぽいサウンドによる「思い出のロックンロール」のカバー。

[2026年7月作成]


 
音の箱  オトハコ (2020)  Otohako Label 


 



5. メトロポリタン美術館 [作詞作曲 大貫妙子] 5曲目

田村麻理子 (ちびまりお姉さん): Vocal
京谷ひとみ (ひとみお姉さん): Marimba
米重美文子 (よねお姉さん):Glockenspiel
志村和音 (かずねお兄さん): Piano
吉原史雄 (アーミーお兄さん): Percussion

写真上: アルバム(2020年7月13日発売)
写真下: 左より、志村 田村 京谷 米重 吉原

5. Metropolitan Bijyutsukan (Metropolitan Museum) [Words & Music:Taeko Onuki] 5th track by Oto Hako (The Sound Box) on July 13, 2020


 
クラシックの教育を受け、個々に活動する5人の音楽家が「ファミリー向け」をテーマに結成したグループがオトハコだ。子供達におもちゃ箱から飛び出したような音楽を届けたいという想いからつけた名前とのことで、各地でコンサートを開催。高い演奏技術と優しいアレンジで、子供のみでなく同席したパパママ達からも好評を博している。「音の箱」は2020年発売の自主制作盤で、カバー4曲、オリジナル2曲、カラオケ2曲からなる。

5.「メトロポリタン美術館」は、ピアノ独奏のイントロから田村の歌、続いてリズムが加わる構成。アコースティックなサウンドで、音を伸ばさずに弾くピアノと他の打楽器による演奏が個性となっている。田村の歌声は「歌のお姉さん」的(良い悪いの問題でなく)。曲の終盤では皆で歌っている。シンプルな演奏であるが、各人の演奏力と編曲のセンスにより、大人も十分に楽しめる仕上がりになっている。

他の曲について
1. オトハコマーチ [作詞作曲 志村和音] オリジナル曲。コンサート初めの曲と思われる、バンド紹介の短い曲。
2. 世界のなかま♪ [作詞作曲 米重美文子] オリジナル曲。 「さあ冒険の始まりだ!」と歌う。1.の次に演奏されるかな?マリンバの音が面白い。
3. トルコ行進曲 [作曲 Mozart] 最初はごく正統に、途中から打楽器の個性を生かした演奏になってゆく。ガムランを思わせるマリンバの低音がいいね。
4. 夢のなか [作詞 日暮真三 作曲 渋谷毅] 1998年NHKの「おかあさんといっしょ」で清水けんたろうと茂森あゆみが歌って有名になったが、それ以前に「母と子のテレビ絵本」という番組で、坂田おさむと神崎ゆう子が歌ったのが最初だそうだ。
5. メトロポリタン美術館
6. ぼよよん行進曲 [作詞 中西圭三、田角有里 作曲 中西圭三] 2006年NHKの「おかあさんといっしょ」で今井ゆうぞう (2020没)とはいだしょうこが歌った。その後作者のシンガーソングライター、中西圭三が2011年にセルフカバーしている。
7. 夢のなか [作詞 日暮真三 作曲 渋谷毅] (カラオケ)
8. ぼよよん行進曲 [作詞 中西圭三、田角有里 作曲 中西圭三] (カラオケ)

打楽器を中心としたアンサンブルによる 5.「メトロポリタン美術館」。

[2026年7月作成]


 
魔法をおしえて  山崎彩音 (2020)  Friendship/Forlife Songs  
 




1. 魔法をおしえて [作詞 大貫妙子 作曲 山下達郎 編曲 丸山佳] Single A面

山崎彩音: Vocal
丸山佳: Track Making


写真上: Single (2020年8月8日発売)
写真下: 4曲入りEP 「Cover e.p.」 (2023年9月1日発売  3曲目に収録)

1. Maho Wo Oshiete (Teach Me Magic) [Words: Taeko Onuki, Music: Tatsuro Yamashita, Arr: Kei Maruyama] by Ayane Yamazaki from the single A-side on August 8, 2020 

「魔法をおしえて」は、1983年山下達郎が自己のFMラジオ番組で大貫妙子を招いて、「如何に曲を作るのか」をテーマに番組内で作った曲だ。バックバンドのヘッドアレンジでその場で大貫のボーカルを入れて2分ちょっとの曲に仕上げたが、その後正式発表されず、その代わりに山下がメロディーに異なる内容の英語歌詞を付けて、サーフィンのドキュメンタリー映画「Big Wave」1984のテーマ曲として発表した(詳細は本ディスコグラフィー「Various (シングル、コンピレーション)」の部 「魔法を教えて」を参照のこと、オリジナルは「おしえて」が漢字になっている)。

ということでラジオで放送された曲は、その素晴らしい内容にもかかわらず未発表のままであるが、番組を録音した音源が出回ることで、ファンの耳に届くことになった。本作はそういう曰くつきの曲を37年ぶりにカバーしたものだ。発表するにあたり、著作権者(山下さんと大貫さんの両方)の許諾が必要なはずで、このような未発表曲のカバーを許可したということは、どういう経緯かわからないけど、大貫さん・山下両人がこの曲の価値を認めているということかな?

山崎彩音(1999- )は湘南出身のシンガーソングライターで、高校生の時アコースティック・ギターの弾き語りからスタート後、バンド編成に発展して2017年にForlife Songsよりアルバム・デビュー。そして2019年に英国のインディー・レーベルのオーディションに合格してセカンド・アルバムで全世界配信デビューを果たす。その後プログラミングを多用したエレクトロ・ポップに傾倒し、欧米でも高い評価と人気を集めるようになる。

山崎がこの曲をカバーしたのは、大貫さんの音楽を愛聴していた彼女が曲を聴いてとても気に入ったからということで、丸山佳(学生時代に「イカ天」に出演したバンド「宮尾すすむと日本社長」でキーボードを弾いていた人)の編曲・トラックメイキングにより制作され、海外で大評判となりドイツのインディー・チャートで1位を獲得したそうだ。日本では配信と同時にシングル盤も発売され、B面には海外での評価が高い「kitchen song」(作詞作曲 山崎彩音 編曲 丸山佳)の「dance version」が収められた。

丸山佳によるスペーシーなアレンジ、サウンド・メイキングが素晴らしく、それをバックに歌う山崎のボーカロイドのようでありながら澄んだ歌声もピッタリ嵌っている。原曲の2分強という演奏時間は、曲として短すぎる感があったが、ここでも敢えていじって長く改変せず、元のままのシンプルな構成で通しているところも良いと思う。

なお本曲は3年後に発売された4曲入りのEP「Cover e.p.」にも収められた。

大貫さんと山下による隠れた名曲「魔法をおしえて」は、ビーチボーイズ風のバンドサウンドによるオリジナルは素晴らしかったけど、ここでのエレクトロポップ・サウンドによるカバーも最高!

[2026年7月作成]


2021年  Pure Acoustic 2018 (2018/9/18) Taeko Onuki Concert 2022 (2023/6/16) の頃   
App Standard  Jill-Decoy Association (2021)  Pony Canyon   




6. 都会 [作詞作曲 大貫妙子 ] 6th track (レコードは7曲目→ B面1曲目)

[Jill-Decoy Association]
chihiro: Vocal
towada: Drums

工藤拓人: Piano
池田拓真: Guitar
平石カツミ: Bass

2021年12月21日配信 (Jet Set からのLPレコードは 2025年4月9日発売)

6. Tokai (City) [Words & Music: Taeko Onuki] 6th track by Jill-Decoy Association from the album "App Standard" on December 21, 2021

Jill-Decoy Association (通称ジルデコ)は、chihiro (ボーカル)、kubota (ギター)、towada (ドラムス)が2002年に結成したバンド(kubotaは2019年に脱退)。ジャズを学んだミュージシャンがポップスの中にジャズとファンクを持ち込んだサウンドで、2006年にCDデビューを果たし、以降アルバム発表、コンサート活動を続けてきた。

しかし2020年から深刻化したコロナ禍の中でライブができなくなり、その代わりに配信とレコーディングに注力したという。その中で2021年3月に配信リリースした松原ミキの「真夜中のドア〜Stay With Me」のカバーが好評を博し、それを受けてJ-Pop名曲のカバーアルバムとして制作されたのが本作で、素晴らしいメロディと歌詞が約束されていたので、迷いなく「歌唱」に向き合うことができたとのこと。タイトルの「App」は「application」の略語で、「申請、志願」のほかに「応用」という意味があり、ここでは後者のニュアンスで使われたのだろう。スマホやパソコンの「アプリ」の意味も込められているようだ。

「ジルデコ ブログ」の2021年12月16日の記事で、chihiroが大貫さんの「都会」のカバーについて以下のとおりコメントしている。

曲名の「都会」とは私達が生まれる少し前の都会(注 1977年の曲)。
未来への夢と同時に、少し退廃的な雰囲気を醸し出し、夜遊びしている大人たちに憧れて育った所があります。
その後自分が生まれる前に流行った、ソウルやファンクミュージックを大人になってじっくり聴いた時、そのサウンドに同じ様な憧れを感じました。
そんな都会への憧れをジルデコ的に組み合わせたサウンドです。

若い人たちは70年代の曲に対して、こんな風に感じているんだ............。ギターとドラムスはファンクの乗りで演奏しているのに対し、ピアノはボーカルの背後につけるオブリガードや間奏ソロが自由奔放なジャズのグルーヴで、その組み合わせがとても良い。上記の記事で、「アレンジの多くにはピアノの工藤拓人くんが多大な力を貸してくれました」とあるので、アレンジはピアノ主導で行われたものと思われる。chihiroの癖のないボーカルは、曲をうまく引き立てている。

他の曲について(曲名 [作詞作曲] オリジナル・アーティスト 発表年 シングル アルバム。特記)
1. プライマル [作詞作曲 田島貴男] オリジナル・ラブ 1996 8枚目シングル 「Desire」。鈴木京香、大沢たかお主演のドラマ「オンリー・ユー〜愛されて〜」の主題歌としてヒットした。ここでは斬新な伴奏で新しい世界を創り出している。
2. Downtown Boy [作詞作曲 松任谷由美] 松任谷由美 1984 「No Side」。1984 富士フィルム、1988 三菱自動車工業、2018 東に本高速道路のCMに使用された。ここでは異なるリズム・パターンでより洗練されたシティ・ポップに仕上げている。
3. エイリアンズ [作詞作曲 堀込泰行] キリンジ2000 6枚目シングル 「3」。キリンジの代表曲。ギター主体のオリジナルに対し、ここではピアノ・トリオによるジャズ・アレンジ。
4. テレフォン・ナンバー [作詞 三浦徳子 作曲 佐藤健] 大橋純子1981 「Tea For Tears」。美乃屋セントラルステイションと別れてソロになった頃の作品。本作ではゲストに本人(2023没)が登場し、chihiroと軽快に歌っている。ここでのアレンジは完全なジャズ。
5. 戻っておいで・私の時間 [作詞 安井かずみ 作曲 加藤和彦] 竹内まりや 1978 最初のシングル 「Beginnings」。竹内が他人の曲を歌っていた頃の作品。
6. 都会
7. 春を告げる [作詞作曲 くじら] yama 2020 配信。 yamaは年齢、出身地、素顔を明かさず、ステージでもマスクを付けて歌う。ボカロで曲をつくるくじらが作詞作曲、yamaとはネットのやり取りだけで顔を合わせずに完成させたという。本アルバム唯一の若い世代による曲。
8. Miracle Love [作詞作曲 竹内まりや] 牧瀬里穂 1991。牧瀬の歌手デビュー曲。本人出演の三菱電機、郵便貯金のCMで使用された。本シングルは本ディスコラフィーにも登場している(「あいたい気持ち」参照)。ここではアイドル・ソングがジャズ・バラードになっている。
9. 夏のクラクション [作詞 売野雅勇 作曲 筒美京平] 稲垣潤一 1983 5枚目シングル 「J.I.」。富士写真フィルムのCMに使用。ここではポップな曲をピアノ主体のジャズでアレンジ。
10. 頬に夜の灯 [作詞作曲 吉田美奈子] 吉田美奈子 1982 「Light'n Up」。山下達郎とともに当時最先端を走っていた吉田によるシティ・ポップの名作。ここではしっとりしたジャズ・アレンジ。

本アルバムは配信のみでリリースされたが、3年半後にJet Setというインディ・レーベルからLPレコードとして発売された。その際B面1曲目に「都会」を持ってくるため、「春を告げる」との曲順の入れ替えが行われた。また9ヵ月前に配信されていた「真夜中のドア〜Stay With Me」が最後の曲として追加収録されている。

chihiroはコロナ禍の間はソロで楽曲配信したり、オンライン・コンサートを行っていたが、ジルデコは2024年に無期限の活動停止に入り、chihiro-decoyとして活動していた彼女はステージ・ネームを chihiropeに改めた。なおオンライン・コンサートでは、本アルバムに収められた「都会」と、正式録音のない「突然の贈りもの」の映像を観ることができる。

ファンク・ジャズっぽいアレンジによる「都会」。

[2026年8月作成]